女性の健康と貧血
女性は鉄分が不足しがちであり、貧血になりやすいことをご存知でしょうか。
鉄分は生命活動に欠かせない重要な栄養素であり、不足すると「疲れやすい」「頭痛やめまいがする」といったさまざまな症状が表れます。
ここでは、女性が貧血になりやすい理由や貧血のサイン、治療法について解説していきます。

(画像はイメージです)
女性は鉄分が不足しがちであり、貧血になりやすいことをご存知でしょうか。
鉄分は生命活動に欠かせない重要な栄養素であり、不足すると「疲れやすい」「頭痛やめまいがする」といったさまざまな症状が表れます。
ここでは、女性が貧血になりやすい理由や貧血のサイン、治療法について解説していきます。
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鉄分は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの成分であり、からだの中で酸素を運んだり、呼吸やエネルギーの産生・DNA合成に関わったりと、生命活動においてとても重要な役割を果たしています1。
食事から取り入れた鉄分は、血管を通じて全身に運ばれ、そのうち約65%は赤血球に含まれるヘモグロビンの成分となります2。血液中のヘモグロビンが不足している状態のことを貧血と言い、いくつかの種類がありますが、最も多くみられるのは鉄分不足が原因の「鉄欠乏性貧血」です。
鉄分は、どのくらい摂ればいいのでしょうか。成人女性(月経あり)では1日あたりおよそ10.5mg摂る必要があるとされています(成人男性では7.5mg)3。ところが、20歳以上65歳未満の女性が摂っている鉄分量の平均値は7.5mgと推奨量を下回っています4。
女性はなぜ男性よりも鉄分の必要量が多く、不足しがちなのでしょうか。ライフステージによってその原因は変わっていきます。
女性は生理のため定期的に出血し、からだの鉄分が失われます。特に出血量の多い女性では鉄分不足のリスクが高まるので注意が必要です。出血の量を測ることは難しいですが、「血のかたまりが出る」「昼に夜用ナプキンを使用している」といった状態は出血が多いとされる目安です5。
妊娠中の女性は胎盤へ血液を送り、赤ちゃんに酸素や栄養を与えています。そのため妊娠中の女性は、推奨されている鉄の摂取量よりもさらに多くの鉄を摂取する必要があります。妊娠初期で摂取推奨量のプラス2.5mg、それ以降はプラス9.5mgとされています6。また、妊娠中の貧血については、産後のお母さん、赤ちゃんへの影響もいくつか報告があります。貧血が産後うつのリスクを高める7ことも報告されている一方で、妊娠中に十分な鉄分を補うことで、低体重出産や早産のリスクを減らせることも分かっています8。
妊娠期だけでなく、産後も貧血には注意が必要です。分娩では出血を伴うので、産後は貧血に陥りやすくなります。貧血が進行すると疲れやすくなり、産後の回復に影響する可能性があります。鉄分を意識して摂るようにしましょう。
母乳は血液から作られています9。お母さんが貧血だと母乳も鉄分不足となり、お子さんの発育に影響する可能性があります10。授乳中の女性は推奨されている鉄の摂取量プラス2.5mgの鉄分を摂取することが推奨されています6。
授乳をしていない、あるいは卒乳した女性であっても貧血のリスクがあります。育児に追われると、栄養バランスの偏った食事になってしまうこともあるでしょう。そのため、鉄分不足となる可能性があります。
更年期になると、生理の間隔や出血量が変化します。生理の周期が短くなったり11出血量が増えたりすると、鉄分が失われやすくなります。
以下のような症状がある場合には鉄欠乏性貧血の可能性があります12,13。
「運動しているわけでもないのに毎日極端に疲れる」「出かけるのもしんどい」など日常的に疲れを感じているのであれば、貧血の可能性を考え医師に相談してみましょう。
鉄欠乏性貧血では、その原因となる病気がある場合には、その治療を行います14。しかし、原因の病気の治療を開始してもすぐに鉄欠乏性貧血が改善しないことがあるため、並行してそれぞれの症状やからだの状態にあわせた治療を行います。食事療法では鉄分を多く含む食材が勧められます15。妊娠中の女性では、そうでない女性に比べて推奨されている鉄の摂取量は多くなります6。薬は通常、内服薬(鉄剤)が用いられます。内服薬が困難な場合には注射剤を使用します16。
なお、薬の投与により副作用がみられる場合があります。副作用が出たからといって自己判断で治療をやめることはせず、医師に相談しましょう。
本記事のご監修
加藤聖子先生
九州大学大学院 医学研究院 生殖病態生理学
(婦人科学産科学)教授